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“ハレの日ごはん”に出る地域差と共通点~156人の声から見えた、暮らしの中のインサイト



 

進級、合格、卒業、入学、就職、引っ越し。3月は、人生の節目が重なる季節です。そんな“ハレの日”の食卓には、その家ならではのごちそうが並びます。

 

今回、リビングWebの投票コンテンツ「あなたはどっち」で実施した「地元ならではの“ハレの日ごはん”はある?」には、156人から回答が寄せられ、68件のコメントが集まりました。北海道の甘納豆赤飯、岡山のばら寿司、長崎の押し寿司など、地域色豊かなメニューがあがる一方で、赤飯、ちらし寿司、すき焼き、ステーキといった定番も根強く支持されていました。

 

寄せられた声を見ていくと、そこにあるのは単なる食の好みではありません。その土地ならではの文化や、家族の記憶、暮らし方の違いがにじんでいます。今回は、“ハレの日ごはん”のコメントから見えてきた、暮らしの中のインサイトを整理します。

 

地元ならではの“ハレの日ごはん”はある?

調査概要

  • 調査対象:全国のリビングWeb読者
  • 調査期間:2026年3月5日~3月11日
  • 投票数:156
  • 有効コメント数:68

 

同じ「お祝い」でも、食卓の正解は地域ごとに違う

まず印象的なのは、同じ“ハレの日”をテーマにしていても、思い浮かべる料理が地域によって大きく異なることです。

  • 全国的に知られているのかもしれませんが、甘納豆入りのお赤飯と甘い茶碗蒸し。卵焼きも甘かったな。なつかしい(あずーさん/57歳/女性/北海道)
  • 今は食べられないけど「イノハナご飯」。もち米で味蒸しにして、お赤飯替わりでした(樂さんさん/49歳/女性/福島県)
  • 栃木といえば、節分の「しもつかれ」!何かにつけて出されていた記憶ですが、他にも「五目飯」と「ちたけうどん(そば)」とかもあります!五目飯はちらし寿司と似ていますが、かんぴょうといえば栃木県ならでは、休みの日や労る日によく出ていました。ちたけは、栃木県しか食べないそうです(マーヌルさん/28歳/女性/栃木県)
  • 千葉県館山市です。「赤混ぜ(あかまぜ)」です。酢飯に、サイコロ状の醤油漬けマグロと、みじん切りの紅生姜を混ぜこみます。おかわりが止まりません(たかつさん/46歳/女性)
  • 名古屋めしのひとつ、みそかつの名店が地元にあります。「とんかつオゼキ」さん!小さい頃からお祝いとか季節の節目の外食はこちらでした。焼きとんかつがウリですが、私はサイドのポテトサラダが大好き。あの味は自分では出せません。あと必ず頼むのがカニチャーハンです、なつかしい思い出の味です(なみさん/59歳/女性/愛知県)
  • 鯛の蒲鉾(アンナさん/50歳/女性/富山県)
  • すき焼きです。近江牛のすき焼きと鶏肉のすき焼きです(可憐さん/62歳/女性/滋賀県)
  • イベントご飯といえば岡山ちらし寿司(ばら寿司)。穴子、エビ、さわら、イカ、モガイ、錦糸卵など、色鮮やかに豪華に盛りつけて頂きます(チビ猫さん/75歳/女性/岡山県)
  • 地元で親しまれている江波巻ですよ(ブルーバードさん/54歳/男性/広島県)
  • 実家が長崎なのでハレの日ご飯はやはり長崎の押し寿司です。四角い木枠に酢飯を広げ、魚のそぼろとささがきごぼうの炒め煮をその上にのせ、その上にまた酢飯を広げ木のフタで押し、半日ぐらい置きます。木枠を外し適当な大きさに切りいただきます(なつべえさん/68歳/女性)

ここから見えてくるのは、“お祝いの日の定番”は全国一律ではないということです。同じテーマであっても、その土地で育った人が自然に思い浮かべる料理は違います。しかも、それは単なる郷土料理の知識ではなく、「うちの地域らしさ」や「昔から親しまれてきたもの」として語られています。

 

★ヒント★

  • 全国共通の季節訴求でも、地域の具体名が入ると一気に自分ごと化しやすい。
  • 暮らしに近い固有名詞や地域らしさは、共感を深めるフックになりやすい。

 

地域差があっても、共通しているのは“ちょっと特別な食卓”

一方で、コメント全体を見渡すと、地域による違いがありながらも、共通している価値観も見えてきます。それは、「少し特別」「食卓が華やぐ」「家族が喜ぶ」といった、お祝いの日ならではの感覚です。

  • 春のお祝い、晴れの日には鰆ののった押し寿し。鰆の皮付き刺身。鰆の真子の煮物。毎年子どもたちの進級、進学、入学など、春のちょうど今頃、食卓いっぱいに鰆料理を作ってくれて、春の喜びを感じていました(まるみんさん/45歳/女性/香川県)
  • 鮭が上ってくる川があるので、鮭のちらし寿司。他、鮭の料理です(ぐみたんさん/55歳/女性/新潟県)
  • 祖母がよく作ってくれたちらし寿司や特製とんかつを父が丁寧に作って家族、甥たちにふるまってくれる(ユキさん/50歳/女性/愛媛県)
  • ちらし寿司をうちのあたりでは「ばら寿司」と呼び、なにかちょっと良いことがあると作ります。とくに何かがなくても、ばら寿司が出てくると、良いことが起きたようにウキウキします(くーやんさん/63歳/男性/大阪府)
  • 運動会には黄飯(くちなしで色をつけたご飯)、秋祭にはさんま寿司(各家でびみょうに味が違う)(いなりさん/62歳/女性/静岡県)
  • お祝いがあるたびに赤飯とすき焼きですね。娘が成人式を迎えた日、赤飯を作りました(リトルさん/49歳/女性/兵庫県)
  • 赤飯!何かしら祝い事があると必ず母が赤飯を炊いてくれて、その赤飯が普通の赤飯ですが、とても美味しく、ホッとします(りーちゃんさん/53歳/女性/岡山県)
  • 晴れの日ご飯は、炊き込みご飯に金時豆をたくさん入れて、椎茸と金時人参で彩りよくします。鶏肉は名古屋コーチンで奮発しますよ~(チビさん/53歳/女性/兵庫県)

ここで興味深いのは、「高級だから」「珍しいから」という理由だけで選ばれているわけではない点です。食卓に並ぶ料理は、家庭によってさまざまですが、どれも“ふだんより少し特別”であり、節目の日の気持ちを受け止めるものとして語られています。

 

★ヒント★

  • 生活者が求める“特別感”は、豪華さだけでなく、その日らしい気分や家族の納得感にもある。
  • 商品や企画の訴求では、スペックより「どんな場面をつくるか」が効きやすい。

 

“ごちそう”には、豪華さだけでなく合理性も求められている

今回のコメントで、とくに今の暮らしらしさが表れていたのが、肉料理に関する声です。そこには、見た目の特別感と同時に、準備のしやすさや満足感といった現実的な価値観も見えてきます。

  • 全然凝ってもいないし特別感もありませんが、ハレの日は絶対ステーキです。食べる人はニコニコ、作る人は楽チン。働く主婦に作る時間もなくステーキは最強の味方です(びびさん/62歳/女性/広島県)
  • ごちそうは、すき焼き(ジュンちゃんさん)
  • しゃぶしゃぶの食べ放題です。お肉をいっぱい食べます(ゆうきのママさん/61歳/女性/熊本県)
  • ハレの日には、たいてい丸チキンか丸ダックです。テーブルの真ん中ににどーんと置くので、インパクト大だし、分け合って盛り上がりますね。それとピザとか子ども達の好物、フライドポテト、オムライス、餃子、あれこれ並べます(みきんこさん/49歳/女性/神奈川県)
  • ミートローフかな(しんさん/51歳/男性/神奈川県)

“ハレの日”というと、手間をかけた豪華な料理を想像しがちです。ですが、実際の声からは、「作る人の負担が少ない」「みんなが喜ぶ」「場が盛り上がる」といった要素も重視されていることがわかります。

 

★ヒント★

  • “特別感”は、非日常性だけでなく、現実の生活の中で無理なく成立することも含んでいる。
  • 「ラクなのにちゃんとハレ感がある」という切り口は、今の暮らしに合いやすい。

 

記憶に残っているのは、料理そのものよりも「誰と食べたか」

コメントを読んでいると、料理名以上に印象に残るのが、その背景にある家族の姿です。

  • 春のお祝い、晴れの日には鰆ののった押し寿し。鰆の皮付き刺身。鰆の真子の煮物。毎年子どもたちの進級、進学、入学など、春のちょうど今頃、食卓いっぱいに鰆料理を作って、春の喜びを感じていました(まるみんさん/45歳/女性/香川県)
  • 名古屋めしのひとつ、みそかつの名店が地元にあります。「とんかつオゼキ」さん!小さい頃からお祝いとか季節の節目の外食はこちらでした。焼きとんかつがウリですが、私はサイドのポテトサラダが大好き。あの味は自分では出せません。あと必ず頼むのがカニチャーハンです、なつかしい思い出の味です(なみさん/59歳/女性/愛知県)
  • 祖母がよく作ってくれたちらし寿司や特製とんかつを父が丁寧に作って家族、甥たちにふるまってくれる(ユキさん/50歳/女性/愛媛県)
  • 赤飯!何かしら祝い事があると必ず母が赤飯を炊いてくれて、その赤飯が普通の赤飯ですが、とても美味しく、ホッとします(りーちゃんさん/53歳/女性/岡山県)

ここで語られているのは、料理そのものの説明だけではありません。誰が作ってくれたか。どんな場面だったか。どんな気持ちで食べていたか。そうした記憶の文脈ごと残っていることがわかります。

 

★ヒント★

  • 生活者が覚えているのは、商品単体ではなく、その場の空気や関係性であることが多い。
  • 企画や表現では、モノだけでなく「誰との時間に結びつくか」まで描けると強い。

 

まとめ:見えてきたのは、「特別な日」のローカルさと普遍性

今回のコメントが示しているのは、同じ“ハレの日”でも、地域や家庭によって思い浮かべる食卓の風景が大きく異なるということです。

  • 地域ごとに「定番」が違う
  • どの家庭にも“少し特別”の感覚がある
  • 豪華さだけでなく、無理なく成立することも大切にされている
  • 記憶に残るのは、料理そのものより家族との時間である

 

こうして見ていくと、暮らしに寄り添う企画や発信では、全国共通の季節ワードを並べるだけでは十分ではないことが分かります。生活者が実際に反応するのは、「春のお祝い」や「ハレの日」といった大きなくくりそのものではなく、それが自分の地域、自分の家庭、自分の思い出にどうつながるかという具体的な実感です。

 

今回のコメントでも、同じお祝いの日を語っていても、思い浮かべる料理は地域によって異なり、その料理に込められた意味も、家族の習慣も、それぞれ違っていました。一方で、どの声にも共通していたのは、「少し特別な日を、家族らしく過ごしたい」という気持ちです。つまり生活者が求めているのは、一般的な“特別感”ではなく、自分たちの暮らしの中で無理なく成立する、その家らしい特別感なのだといえます。

 

“ハレの日ごはん”のコメントには、生活者が何をうれしいと感じ、何を大切な記憶として残しているのかが、その人自身の言葉で表れています。そこから見えてくるのは、表面的な好みや流行ではなく、暮らしの中で重視されている価値観です。こうした声を丁寧に読み解くことは、企画や発信を考えるうえで、誰に何をどう届けるべきかを具体化する手がかりになるのではないでしょうか。

 
リビングWeb「あなたはどっち」


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