
電気料金の値上がりが続くなか、今年の冬をどのように乗り切るのか。生活者の節電行動は例年以上に関心が高く、暖房器具の使い方から衣類、防寒グッズ、生活習慣に至るまで、各家庭でさまざまな工夫が行われています。
サンケイリビング新聞社では、全国のリビングWeb読者を対象に「冬の節電行動」に関するアンケートを実施。1,021件の投票と515件の自由回答から、生活者が「何に困り」「何を選び」「何を優先しているのか」を読み解きました。
本記事では、寄せられたコメントから抽出されるインサイトと、今冬の施策設計を考えるうえでのヒントをまとめてお届けします。
1|調査概要
- 調査対象:全国のリビングWeb読者
- 調査期間:2025年11月6日~11月12日
- 投票数:1,021
- 有効コメント数:515
- 結果概要:7割以上が「節電対策をしている」と回答

「節電を優先したい」層が多数派でありながら、「寒さだけは我慢できない」という声も一定数存在します。この二極構造が、冬の購買行動や暮らし方に大きく影響していると考えられます。
2|生活者の行動を分類して見える6つのインサイト
① 省エネ家電・ガジェットの需要が拡大
電気ブランケット、電気あんか、ホットカーペット、充電式カイロなど、「局所暖房」「自分だけ暖まる」という方向性が強く表れています。暖房器具で「部屋全体を暖める」のではなく、「身体の一部を集中的に暖める」工夫が目立ちます。
- 「家で一人の時は、500mlペットボトルにお湯を入れたものを股に挟み、毛布とひざ掛けの二枚重ねでかけて、外用の上着を着て、子どもの縫いぐるみ(パンダ)を抱っこして過ごしてます。温かいです!(ぽっちゃりウータンさん/45歳/女性/静岡県)」
- 「家の中でも、電熱ベスト・レッグウォーマー・カイロで寒さ対策。暖房をつけるより乾燥もしないし、直接身体が暖まる感じがします(なーさん/38歳/女性/東京都)」
- 「エアコンより消費電力の低い電気ブランケットや電気あんかを活用しています。特に電気ブランケット+毛布でひざ掛けにすると、こたつのようにぬくぬくです(むむこさん/39歳/女性/静岡県)」
- 「家では消費電力の少ないホットカーペットを活用し、車内ではエアコンではなくシートヒーターを活用している(スワンさん/38歳/女性/京都府)」
- 「充電式の携帯エコカイロを使っている(よっちゃんさん/54歳/女性/愛媛県)」
こうした声から、「省エネ」「乾燥しにくい」「自分だけ暖かい」といったキーワードが、冬の小型家電・ガジェット選びのポイントになっていることがうかがえます。
② DIYによる断熱・遮熱対策が広く浸透
銀マット、プチプチ、100円ショップの防寒アイテムなど、低コストで自宅にあるもので冷気を遮断する行動が増加しています。「どこから冷えるのか」が生活者の中で可視化され、特に窓際・ドア付近を重点的に対策している様子がわかります。
- 「ベランダ側の窓の手前側に、断熱材(バスタブに入れる発泡材)を立てかけています。窓枠からの冷えも抑えて、足元のスースーがなくなりますので、部屋が冷たくなりにくいです(ちいっちさん/57歳/女性/大阪府)」
- 「壁に銀マットを立てかけ、窓にはプチプチをカーテン状に垂らして、とにかく断熱に力を入れています(あすさん/47歳/女性/神奈川県)」
- 「厚手断冷クリアカーテンをダイソーで買ってきてカーテンの上から付けました。冷たい空気が入ってこなくなるので、だいぶ暖かくなります(さむこさん/33歳/女性/埼玉県)」
- 「寝室のカーテンレールに梱包材のプチプチを吊るしています!見た目はダサいけどどうせ誰も見ないし、朝の底冷えが若干マシになってます!窓に貼るタイプのシートは結露でカビたことがあるので、我が家はこれに落ち着きました(えむえすさん/37歳/女性/栃木県)」
- 「リビングに温度計は必ず置いて節電で冷えすぎないようにチェックしています。家族が体調崩す方が節約にならないので①リビングドアに隙間風防止で布を置いてブロックしています。②夕方早めに遮光カーテンを閉めて部屋温度の保温(さときちさん/46歳/女性/神奈川県)」
住まいの中で「冷えが気になるポイント」が明確になっており、手軽な素材を使った“セルフ断熱”が暮らしの中に根づきつつあると言えそうです。
③ 重ね着の進化と“機能性インナー”の存在感
多層レギンス、裏起毛、厚手靴下、割烹着、ベストなど、とにかく“着込む”アプローチが多数見られます。ただし、単に枚数を増やすだけでなく、「動きやすさ」と「暖かさ」のバランスを重視する層が増えていることが特徴です。
- 「なるべく重ね着をして節電対策しています。真冬のコーデは、インナーを何重にも重ね着して、下は長レギンス⇒裏起毛の長レギンス⇒もこもこ長ズボンで3枚履き!!靴下も2枚履き!!上は、長袖インナー⇒少し厚めのインナー⇒裏起毛インナー⇒トレーナー⇒フリースの5枚重ね着です!!(ポメプーさん/43歳/女性/千葉県)」
- 「とにかく着込む。特に肌着を暖かいものにする。靴下を厚手のものにする。首元はマフラーやハイネックで冷気を防ぐ。昼間はカーテン全開で部屋に陽射しを入れて暖める(はるさん/47歳/女性/福岡県)」
- 「部屋では結構着込んでいます。また冬ズボンは、裏ボアで裾の詰まったものを穿いています。そしてフリースのタートルネックの上に裏起毛のトレーナーを着て、その上にフリースの割烹着を着ています。それで暖房の温度を上げないようにしています(sabeeさん/65歳/大阪府)」
- 「家に1人の時は、暖房つけるのがもったいないので、とりあえず厚着。「まるでこたつみたいな靴下」を履き、トレーナーの上に裏起毛のエプロン、ベストを着ます。ベストだと家事もしやすいので、とても良いです(きりんさん/47歳/女性/大阪府)」
在宅ワークや家事のしやすさを前提に「どこを温めるか」「どのレイヤーに投資するか」が考えられており、機能性インナーや“家事向き防寒スタイル”は今後も重要なキーワードになりそうです。
④ 食を通じて身体を温める“食の温活”が定着
生姜をかじる、毎日鍋を食べる、温かいココアを飲むなど、手軽で持続できる“内側からの温まり”も多数見られました。暖房だけではなく、食事そのものが冬の体調管理や気分転換も兼ねている様子が伝わります。
- 「寒さを感じたら、生の生姜をかじります。ほんとは千切りや、すりおろしたいんですが、水を触るのも嫌なので。体の中からポカポカです(まみやんさん/46歳/女性/熊本県)」
- 「うちは冬場は毎日鍋!加湿もできるし、部屋も温まるし、何より体も温まるので風邪をひかない!仕事から帰ってご飯を作るのも楽なので、いいこと尽くしです(ふなさん/43歳/女性/福岡県)」
- 「温かいココアなどをついでゆっくりと飲む。身体も心もぽかぽかです(けなけなさん/50歳/福岡県)」
「温まる食」は、光熱費の代替というよりも、暮らしの満足度を上げながら結果的に暖房依存度も下げる“補完的な存在”として機能していそうです。
⑤ 運動・家事で身体を温める“行動系防寒”
YouTubeのHIIT、ストレッチ+短距離ダッシュ、階段掃除など、短時間で体温を上げる工夫も見られます。暖房が効くまでの「つなぎ時間」を、体を動かすことでしのいでいる実態も印象的です。
- 「寒い冬で外に出られない。というのを言い訳にしたくなく、YouTubeで「HIIT」動画を観て朝から運動!室内でできることと結構体温が高くなるので、暖房が効く前に歯磨きや着替えなど朝の準備を済ませられます。時短にもなり、一石二鳥です(ロイヤルさん/38歳/女性/愛媛県)」
- 「ストレッチして体を伸ばしてから、ほんの一瞬走る!これが1番温まります。ちなみにほとんど運動はしていません(わわおさん/44歳/女性/埼玉県)」
- 「階段の掃除をする。上がったり下りたりしてる間に身体がぽかぽかしてくるし、階段もきれいになるし一石二鳥!(あとままさん/43歳/女性/愛媛県)」
「運動不足解消」「家事効率化」といった別の目的と組み合わせながら、“自分で熱をつくる”発想が広がっていると言えるでしょう。
⑥ 家族で同じ部屋に集まる“暖房集中戦略”
こたつ中心の生活、家族全員がリビングで過ごすスタイルは、電気代削減とコミュニケーションの両立を実現しているようです。暖房効率の面だけでなく、「家族時間の創出」という付加価値を伴っている点が特徴です。
- 「家族でこたつを囲み、みんなが同じ部屋で過ごすようにしています。部屋ごとの暖房を使わないことで電気代を節約でき、会話も増えて一石二鳥。節電しながら心もあたたまる冬を目指しています(いぬのかさん/男性/愛知県)」
- 「なるべく家族で同じ部屋で過ごします。トランプやウノなど、久々にすると盛り上がります!(ゆらさん/38歳/大阪府)」
- 「暖かいリビングで家族4人過ごし、お風呂も間を開けずに入り、寝室も4人で眠り、重ね着、鍋物を増やすことで、一番高かった冬で電気10000円ちょっとでした(ゆずキッチンさん/52/女性/千葉県)」
暖房の「集中」と、家族の「集中」がセットになっており、節電と暮らしの豊かさを両立するひとつの形として定着しつつあるようです。
3|インサイトから導く“冬のプロモーション設計”の3つのポイント
ここまでのコメントと行動パターンから、冬シーズンの施策設計を考えるうえで押さえておきたいポイントを整理すると、次の3つに集約できます。
① 生活者の“課題解決”を軸にしたストーリーづくり
電気代への不安や「寒さには勝てない」という本音を起点に、
- なぜその商品・サービスが必要なのか
- それによって何が変わるのか
を生活シーンとあわせて描くことが重要になってきます。「寒くてつらい」「光熱費が心配」という感情から、「これなら続けられる」「これなら我慢しなくていい」への変化が伝わる構成が求められます。
② Before/Afterの可視化が効果的
コメントには「実際に暖かい」「電気代が下がる実感」「これが一番温まる」といった表現が多く見られました。そのため、
- 使用前後の室温や体感温度
- 光熱費の変化イメージ
- 他の対策との比較
など、Before/Afterをわかりやすく提示することが、生活者の納得感や選択の後押しにつながります。
③ “節電しながら快適”の両立が鍵
多くのコメントに共通しているのは、「節電だけを目的に我慢する」のではなく、「いかに快適さを保ちながら節電するか」を重視している点です。そのため、冬の商材やサービスでは、
- 光熱費を抑えられること
- それでも“あたたかく、心地よく過ごせること”
この両方がきちんと伝わるかどうかが、選ばれるかどうかの分かれ目になっていきそうです。
まとめ
今回の1,021名アンケートから見えてきたのは、生活者の節電行動が単なる「我慢」ではなく、
低コストで効率的に、快適に冬を乗り切るための選択
へと進化しているという点です。
小型家電、衣料品、食、住宅設備、DIY、防災、ヘルスケアなど、幅広い分野で活用可能なインサイトが多数抽出されました。パーソナル暖房、DIY断熱、重ね着、温まる食事や飲み物、室内での運動、家族で暖かさをシェアする暮らし方――こうした具体的な工夫は、そのまま企画やプロモーションのアイデアの源泉にもなり得ます。
サンケイリビング新聞社では、このような生活者アンケートや読者参加型の調査・企画を通じて、生活者のリアルな声を可視化し、さまざまな取り組みに生かしていくお手伝いをしています。商材やテーマごとにカスタム調査やタイアップ企画を組み立てることも可能ですので、関心のある方はぜひご相談ください。
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