
2025年5月、サンケイリビング新聞社が全国のリビングWeb読者を対象に実施した「セルフレジ」に関するアンケートでは、約6割が“不便や不満を感じる”と回答しました。便利で効率的とされるセルフレジに対して、実際にはどんな思いがあるのか——生活者のリアルな声から、意外な傾向が見えてきました。
セルフレジ利用に「不便・不満」約6割

調査期間:2025年5月8日〜14日/対象:全国のリビングWeb読者/投票数:1351票、有効コメント数:799件。結果は、「不便や不満を感じる」が過半数を超えるという、予想を上回る内容となりました。
不便の理由は「操作性・心理的負担・個人差」
1. お店ごとの仕様差がストレスに
- お店によってレジが違うので、どうやるの?って思うことがよくあります。バーコードを読ませる場所とか読ませ方とか、タッチパネルの表示とか、統一してもらえると、悩まずに済むんですけどね(62歳/女性/熊本県)
- ポイントカードをスキャンするタイミングやQRコード決済のやり方(読み込んだりスキャンしたり)が様々なので、ある程度統一してほしい(51歳/女性/福岡県)
2. 時間短縮にならない
- セルフレジの列が長くて、結局有人レジの方が早かったりするとなんだかなぁと思ってしまいます(44歳/女性/愛知県)
- わが家は週末にまとめて買い物することが多く、量が多いと狭いセルフレジ空間でモタモタしてしまい、並んでる人が気になって余計に時間がかかってしまいます(37歳/女性/大阪府)
3. “セルフ”なのに人手が必要
- セルフレジなのに、やたら店員を呼ばなきゃいけないことが多い(袋から品物を移動したら重さがどーとかで、エラーになり、店員を呼ばないとダメになったり)。間違えた時に自分で訂正できなかったり(39歳/女性/岡山県)
- クーポン券を使う時は店員さんを呼ばなければいけないのでお得に買いたくても、急いでいる時は使わない。クーポン券なども客側でスキャンできるとありがたいなと思う(34歳/女性/香川県)
4. 高齢者・子育て世帯への配慮不足
- 88歳の母を連れて買い物に行きます。将来的に近所のスーパーでもセルフレジ化するだろうと思いドラッグストア等でセルフレジ支払いを練習させていますが、難しいです。特にポイントカードのポイントを使う操作が上手く行きません。高齢者や障害のある方には音声ガイドがあるといいですね!(60歳/女性/広島県)
- まだ小さいので抱っこ紐で赤ちゃんを抱っこしたまま買い物をすることが多いですが、商品をスキャンしづらく時間がかかります。買い物は一苦労です。某アパレルショップのように、レジにかごを置いたら自動ですべてスキャンしてくれるレジがあったら便利だと思います(32歳/女性/鹿児島県)
5. プレッシャーや不安が生まれる
- 同じ商品を2回スキャンして2倍の料金を払ったことが多々ある。ポイントが付けられているか不安(65歳/女性/神奈川県)
- レジによっては金額が足りるまで何度も「お金を投入してください」と言われてせかされている気分になります(33歳/女性/香川県)
とはいえ、セルフレジの支持者も確実に存在
- 有人レジだとどうしても列ができがち。セルフだとほぼ空いていて待ち時間が削減できるし、商品をスキャンするときのピッピッていうあの感じがたまらなく好き。ストレス解消。自分のスピードで超速で打てる。レジスタッフの方に商品を触られずに済むのも衛生的(41歳/女性/岡山県)
- セルフだと「この店員さんちょっと恐いなぁ」「態度悪いなぁ」など感じなくて済むから(37歳/女性)
- 以前は割引シールの貼ったものを購入するのが恥ずかしく躊躇していましたが、セルフレジだと気を遣わなくていいのでとてもありがたいです(40歳/女性/福岡県)
生活者インサイトをマーケティングに活かす
セルフレジを巡る生活者の声は、単なる利便性への評価ではなく、「買い物の場で何を重視し、どんな行動を取るか」という心理や習慣の表れでもあります。マーケティング視点では、これらの声を“選ばれる店舗づくり”や“販促導線設計”のヒントとして活用することができます。
- 高齢者向け商品・サービス
セルフレジ操作に苦戦する高齢者の声から、有人対応やスタッフによるサポートの価値が再確認されました。→「不安なく買える環境」が訴求ポイントになる可能性がある
- プライバシー性が求められる商品(生理用品、健康食品など)
「見られたくない商品はセルフで買いたい」という声に注目。→ セルフレジ導入店舗限定の特典キャンペーンや、POP表現の工夫が有効
- 子育て・共働き世帯
「抱っこしながらレジ操作が難しい」「買い物の時間は最小にしたい」といった切実な声も。→ スムーズな買い物導線や時短訴求、袋詰めサポートなどを販促軸に
- 購買促進施策の再設計
「セルフレジを使うと損した気分になる」という声に対して、セルフレジ専用のポイント付与・抽選キャンペーンなどを導入することで、→ 「セルフを選ぶ動機づけ」を設計できる
まとめ
これらの具体的な声や傾向は、「生活者の購買時点のつまずき・迷い・選択の動機」を可視化する情報であり、施策改善や新企画立案時の“仮説の種”として活用できます。サンケイリビング新聞社では、今後もこうした定性情報をもとに、生活者視点での意思決定支援を強化してまいります。
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